ご挨拶

1 「三足の草鞋」を履いて

相変わらず「三足の草鞋」を履いている。本業の弁護士は45年、著作業は40年、花の写真家・秋津マキ子の個展プロデュースは10年続けている。仕事場は都心の法律事務所、東京郊外の自宅、伊豆のアトリエ。リモート・ワークをしながら、3か所を行き来している。
気がつけば70代半ばである。目の前の些事雑事に取り紛れ、一喜一憂し、ついうかうかと生きてきてしまった。仕事と人生の意味を深掘りもせず、日々をおざなりに過ごしてしまった。
山ぎわに沈む夕陽を浴びながら机に向かうのも、よくてあと数年。残る日もわずかである。やっと今まで書き散じた著作を整理しようと思い至った。いつもながら、あまりにも遅い出発である。

2 自己紹介

ところで「矢部正秋ってだれ?」というという読者も多いだろう。正直、そう問われても困る。学歴、年令、職業、経歴などの飾り物は、所詮、世間向けの「だまし絵」に過ぎない。
世を渡るには素の自分をさらして生きることは不可能である。顔には仮面を心には鎧を着て、自分を殺して生きなければならない。わたしもそうしてきた。
だから人の本性を知るには、装飾物はたいした手掛かりにはならない。むしろこのブログに載せる作品にこそ、わたしの精神史が正直に反映されている筈である。

しかし、そうはいっても、はじめての読者には不親切には違いない。やむなく世間の風習にならって、今までに出版した本の「著者紹介」をまとめるとこんな風になる。

本業は国際関係・会社関係を専門とするビジネス弁護士。自動車メーカーでサラリーマンをしたのち大学院に社会人入学。法学修士号を得たのち弁護士登録し、東京で米国系の法律事務所に勤務。その後、英米への留学を経て、30代に都心で自前の事務所を開設。以後30数年にわたり事務所を経営してきた。還暦を機会に英米系の大手国際法律事務所に移籍。
青年時代よりストア哲学と仏教に関心を持ち、仕事の傍らよい生き方について思索を続け、成果を発表している。

3 モラリストを目指して

わたしは20代からモラリストの生き方にあこがれてきた。モラリストを「人生探求家」と訳すとひ弱な感じがするが、それは日本的な感覚に過ぎない。モンテーニュ、ゲーテ、ヒルティなどのように、モラリストとは「『短い生をどう生きるか』を真剣に考えながら生きる人」をいう。職業人として、家庭人として、一人の人間として、生き方を日々自省する。そういう人をいう。人生の無常を詠嘆するだけでは、到底モラリストとはいえない。

わたしの人生で著作はきわめて大きな位置を占める。日々の思索の結晶を、仕事論、紀行記、交渉術、思考法、処世論、エセーなどで発表してきた。これらの著作に通底するのは、「いかによい仕事をし、いかによい人生を生きるか」の視点である。
このブログでは、矢部正秋名で発表した過去の著作、および、書き溜めた未発表の原稿を整理し、数年かけて掲載する予定である。ただし、現に紙出版、電子書籍、オーディオブックで出版しているものは、著作権の関係で残念だが掲載できない。これは今後の課題である。

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